人工芝のゴムチップは危険?発がんリスクと公的機関の調査結果を解説
人工芝に使用されるゴムチップには「発がん性があるのではないか」と、不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
国内外の公的機関で行われた調査では、人工芝用のゴムチップを利用することで、健康リスクが生じる可能性は低いと評価されています。
ただし、ゴムチップには原材料や製造方法の異なる製品があり、すべてのものが安全と判断できるわけではありません。
この記事では、ゴムチップに発がん性があるという噂が広まった背景や公的機関による調査結果、安全性の高い製品を選ぶ際のポイントを分かりやすく解説します。
人工芝のゴムチップで発がんリスクは高まる?
ゴムチップはサッカーやフットサルなどを行う人工芝の競技場で主に撒かれるもので、選手の足腰にかかる衝撃を和らげる目的で使用されています。

結論として、ゴムチップの撒かれた人工芝を競技者が通常利用することによって発がんリスクが高まることを示す明確な調査結果は存在しません。
このことは、厚生労働省(国立医薬品食品衛生研究所)による、人工芝用ゴムチップの成分分析の結果においても明らかとされています。
2017年に行われた研究では、国内で流通している複数のゴムチップ製品を対象に、金属類や化学物質などの含有量が調べられました。
その結果、人に対する発がん性が認められるベンゼンは、いずれの製品からも測定可能な水準では検出されなかったそうです。
海外の公的機関による調査でも、人工芝用ゴムチップを通常の範囲で使用した場合の健康リスクは、概ね低いと評価されています。
さらに、調査時点で日本や諸外国において、人工芝のグラウンドを利用する競技者や作業者に、ゴムチップが原因と確認された健康被害の学術報告は見つかっていません。
このことから、人工芝用ゴムチップを競技者が通常利用することによって健康リスクが生じる可能性は、現時点では低いと考えられています。
出典:厚生労働科学研究成果データベース「人工芝グラウンド用ゴムチップの健康リスク評価に関する研究」
ゴムチップに発がん性があるという噂はなぜ広まった?
ゴムチップの発がん性が注目された背景には、米国の女子サッカー選手にがんの発症が相次いでいるのではないか、という指摘が報道されたことがきっかけだとされています。
米国ワシントン大学の女子サッカーコーチは、選手のなかに血液のがんを発症した人が複数いることを懸念していました。
がんの罹患者にはゴールキーパーが多く含まれており、地面へ倒れ込む機会が多い選手ほど、人工芝に充填されたゴムチップへ触れる量が増えるのではないかと考えられました。
また、ゴムチップには廃タイヤを再利用した製品もあり、タイヤに含まれる化学物質への不安と結び付いたことで、「ゴムチップががんの原因ではないか」という疑念が広まったのです。

しかし、その後の調査ではリストに掲載された選手のがん発症数は、同年代のワシントン州住民の一般的ながん罹患率から予測される数を上回っていませんでした。
集められた事例からは、「サッカー選手にがんが通常より多く発生している」とは確認されなかったということです。
ただゴムチップの潜在的な毒性や人体への曝露量については情報が十分ではないため、引き続き研究が必要とされています。
出典:Washington State Department of Health「Investigation of Reported Cancer Among Soccer Players in Washington State」
そもそも人工芝に使用するゴムチップとは?
記事の冒頭でも少し触れたとおり、人工芝に使用するゴムチップとは、人工芝の芝葉の間に撒く粒状の充填剤のことです。
サッカー場やフットサル場など、主に衝撃の吸収性や競技性能が求められるスポーツ施設で使用されています。
競技用人工芝では「充填剤」や「インフィル」と呼ばれる、砂やゴムなどの充填剤を使用し、衝撃吸収性やボールの挙動、足元の安定性など、競技に必要な性能を調整します。
これらの充填剤には、廃タイヤなどを細かく砕いて再利用したものもあれば、合成ゴムや樹脂が原料のものなど、製品によって原材料や製造方法が異なります。
単に「ゴムチップ」という名称だけでは、安全性や性能面を一律に判断することはできないのです。
安全性に配慮したゴムチップの選び方
ゴムチップを選ぶ際は、「ゴム製だから危険」などのイメージだけで判断せず、原材料や試験結果、使用する場所や目的まで確認することが大切です。
また、安全性だけでなく、使い方や維持管理まで含めて、自分の環境に合った仕様を選ぶ必要があります。
ゴムチップの正しい選び方は次の3つです。
【安全なゴムチップの選び方】
- 原材料や試験結果を確認する
- 使用する人や場所に合った製品を選ぶ
- ゴムチップが本当に必要かを考える
では、それぞれについて詳しくみていきましょう。
【ゴムチップの選び方その①】原材料や試験結果を確認する
ゴムチップには、廃タイヤを再利用したものや、合成ゴム、樹脂を原料としたものなどさまざまな種類があります。
「ゴムチップ」という名称だけで安全性を判断するのではなく、どのような原材料が使用されているのか、製造元が明確になっているかを確認することが重要です。
公的機関の調査では、PAHs(多環芳香族炭化水素類)や金属類、VOC(揮発性有機化合物)、フタル酸エステル類などが分析対象とされています。
そのため、製品を選ぶ際は、こうした物質についてメーカーがどのような試験を実施しているのかをチェックするとよいでしょう。
メーカーが仕様書や試験成績書を公表している場合は、検査項目や含有物質、試験結果まで確認しておくと、製品の安全性を判断する材料になります。

なお、検査で特定の物質が検出されたからといって、直ちに健康被害が生じるという意味ではありません。
安全性を確認する際は、物質の有害性だけでなく、含有量や基準値、実際に人体へ曝露する量まで含めて判断する必要があります。
【ゴムチップの選び方その②】使用する人や場所に合った製品を選ぶ
ゴムチップに求められる性能は、使用する人や場所、利用目的によって異なります。
たとえば、サッカー場では衝撃吸収性や足元の安定性、ボールの転がり方など、競技に適した性能が求められます。
子どもが利用する施設では、ゴムチップの原材料や試験結果に加えて、粒の大きさや飛散・付着のしやすさ、清掃性なども確認することが大切です。
このように、ゴムチップは単純に性能の高さだけで比較するのではなく、誰がどのような場所で使用するのかを踏まえて、その環境に適した製品を選びましょう。
【ゴムチップの選び方その③】ゴムチップが本当に必要かを考える
人工芝を施工するからといって、必ずしもゴムチップや珪砂などの充填剤を入れる必要があるわけではありません。
特に一般住宅の庭では、適切な下地づくりと人工芝の固定をしっかり行えば、充填剤を使用しなくても問題のないケースがほとんどです。
一方で、野球場やサッカー場など高い競技性能が求められる施設では、人工芝の安定性や耐久性、衝撃吸収性を補う目的で充填剤を使用することもあります。
「人工芝には充填剤を入れたほうがよい」と判断するのではなく、使用目的や頻度、維持管理などを考えたうえで、本当に必要かを判断することが重要です。
芝助では充填剤の必要性を現場ごとで判断しています
芝助では、人工芝を施工する際に「耐久性向上のため、とりあえず充填剤を入れる」という提案を行っていません。
競技内容や芝の使用頻度だけでなく、利用者の年齢層や安全性、清掃性、維持管理のしやすさまで考慮し、その現場に充填剤が本当に必要かどうかを判断しています。
一般家庭の庭やドッグランでは基本的に充填剤を使用せず、自宅でサッカーなどを頻繁に行う場合には珪砂を検討するなど、利用目的に応じて人工芝や施工方法を提案しています。
芝助が小学生向け野球教室でゴムチップを使用しなかった事例
実際に芝助が小学生向けの野球教室へ人工芝を施工した際には、スポーツを行う場所でありながら、ゴムチップを使用しない仕様を採用しました。
その代わりに利用者が小学生であることに加え、耐久性や、安全性、日常的なメンテナンスのしやすさなどを考慮したスポーツ用の丈夫な人工芝を使用しています。

「野球をする場所だからゴムチップを入れる」と安易に結論づけるのではなく、利用者や使用環境に必要な性能を確認したうえで、充填剤を使用しないほうが合理的であると判断したからです。
売上だけを考えれば、ゴムチップを入れるほうが施工業者にとっては都合がよい選択となりますが、芝助では必要のない施工を無理に勧めることはしていません。
このように芝助では、競技内容や利用者の年齢、使用頻度、必要な衝撃吸収性、維持管理まで考慮し、現場ごとに適切な人工芝や充填剤の使用を提案しています。
人工芝のゴムチップに関するよくある質問
この章では、人工芝のゴムチップについてよくある3つの疑問とその答えをまとめています。
家庭やスポーツ施設等で人工芝を検討している人は、充填剤や施工方法を選ぶ際の参考にしてください。
家庭用の人工芝にもゴムチップは必要?
一般住宅の庭では、ゴムチップを必ずしも使用する必要はありません。
通常の歩行や、子どもの遊び場として利用する程度の庭であれば、適切な下地づくりをしたうえで人工芝を施工すれば、ゴムチップを使用しなくても十分な性能を確保できます。
ただし、自宅で頻繁にサッカーの練習をするなど、人工芝への負荷が大きくなる使い方をする場合には、人工芝の安定性や耐久性を高める目的で珪砂などの充填剤を使用するケースもあります。
子どもや赤ちゃんが利用する人工芝はどのように選べばよい?
小さな子どもは、スポーツをする年齢の子どもとは接触の仕方が異なり、手に付いたものを口に入れるなどの行動も考えられます。
そのため、スポーツ施設を対象とした調査結果だけで判断せず、使用する人工芝や充填剤そのものの原材料・試験結果を確認することが大切です。
さらに、原材料や含有物質だけでなく、衣服や身体に付着しやすくないか、日常的に清掃しやすいかなど、実際の使い方まで考慮しておくと安心です。
ドッグランに充填剤を使用しないのはなぜ?
芝助では、家庭用ドッグランにゴムチップや珪砂などの充填剤を使用していません。
充填剤を使用すると、犬の足や被毛に粒が付着して室内へ持ち込まれたり、尿や汚れが充填剤の間に残って清掃しにくくなったりする可能性があるためです。
家庭用ドッグランでは、充填剤によるクッション性を高めることよりも、人工芝そのものの排水性や下地の水はけ、日常的な清掃のしやすさを重視しています。
芝助ではペットや飼い主が快適に利用できることに加えて、施工後の管理のしやすさまで考慮して予算や環境に合わせた人工芝の施工方法を提案しています。
ゴムチップを正しく理解して用途に合った人工芝を選ぼう
人工芝用のゴムチップについて、現時点で公表されている国内外の公的機関の調査では、競技者の通常利用によって発がんリスクが高まることを明確に示す結果は確認されていません。
ただ、製品によって原材料や含有物質、試験結果が異なるため、使用する際は原材料や製造元、メーカーが公表する試験結果などの確認が必要です。
また、ゴムチップは人工芝に必ず必要なものではなく、使用目的や環境に応じて必要性を判断することが大切です。
芝助では、一般住宅の庭や家庭用ドッグランでは基本的にゴムチップを使用せず、スポーツ施設でも競技内容や利用者に合わせて、充填剤の必要性を現場ごとに判断しています。
「子どもやペットが使う庭なので安全性に配慮したい」「スポーツ施設での人工芝を検討したい」「充填剤が必要か分からない」といった悩みのある人は、現場の状況に合わせた施工方法をご提案しますので、ぜひ芝助へご相談ください。













